対応要領
基本的な心構え(暴力団追放3ない運動 + 1)
- (1)暴力団を恐れない
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              「暴力団員は凶暴で何をするか分からない」という恐怖感があります。 しかし、彼らは暴力をふるうために企業を訪ねて来るのではなく、金を得ることがその目的です。その目的達成のため、暴力団は怖いというイメージをフルに利用し、しかも暴行・脅迫等にならないよう、つまり警察に捕まらないよう細心の注意を払いつつ不当な要求をしてくるのです。 要は、暴力団の本質を理解し、必要以上に恐れず、彼らの要求を冷静に聞き、毅然とした態度で対応することが大切です。 
- (2)暴力団に金を出さない
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              暴力団員の不当要求の手口は、威圧的な態度を示して、応対者を困惑させ、支払わざるを得ない心理状態に陥れることが多いのです。応対者に一刻も早くこの場を収めたいという気持ちにさせ、金を得るのが彼らの常套手段です。こうして支払われた金が、暴力団を肥やし育て、新たな被害者を生むことになります。 そして、支払われた金は、決して物事の解決にはつながりません。それどころか「この企業(個人)は金になる」との印象を与え、更なる要求へ、また、その情報は彼らの組織を通じ他の暴力団等へと流れる結果となります。 そのようなことにならないためにも、不当な要求には断じて応じないという姿勢を示し、彼らにこの相手はアタックしても無駄だと思い知らしめることが重要です。 
- (3)暴力団を利用しない
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              暴力団は、自分の利益のみを考えています。 時には、暴力団を利用した人と暴力団の利害が一致し、一時的には良い結果が得られたとしても、後日彼らは、利用者からも約束以上の金を巻き上げるため、あの手この手でやってきます。現実に、「暴力団を利用した結果弱みをつかまれ、逆にその暴力団に多額の金を支払わざるをえなかった」という事例も見られます。 暴力団の利用については、暴力団対策法では、「何人も指定暴力団員に暴力的要求行為を依頼してはならない」と規定し、利用した人も規制・取締りの対象となります。 
- (4)暴力団と「交際しない」
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              交際は「暴力団の活動を助長」暴力団はあらゆる機会を狙って近づいてきます。 暴力団と関係すること自体が不当要求のきっかけになることがあります。 暴力団と交際していると「暴力団と社会的に非難されるべき関係にある者」とされ、公共事業等から排除されることがあります。   
平素の準備
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              - (1)トップの危機管理
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                  トップ自らが、「不当な要求には絶対応じない」という基本方針と姿勢を示し、毅然とした社風を構築していく。 担当者が気楽に報告できる雰囲気作りを行う。 
   
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              - (2)体制作り
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                  あらかじめ対応責任者、補助者等を指定しておき、対応マニュアル、通報手順等を定めておく。 対応責任者は、組織を代表して対応することから、組織としての回答を準備しておく。 対応する部屋を決めておき、録音、撮影機器等をセットしておくとともに、暴力追放ポスターや責任者講習受講修了書等を掲げておく。 
   
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              - (3)暴力団排除条項の導入
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                  暴力団等反社会的勢力を排除する根拠として、 
 【暴力団等反社会的勢力とは取引しないこと】【取引開始後反社会勢力と判明したなら、解約すること】
 などの内容が盛り込まれた暴力団排除条項を契約書や約款等に導入しておく。
   
具体的な対応要領(暴力団対応10則)
- (1)有利な場所での対応
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                組事務所や相手の指定する場所は避ける事業所内では応接室のドアを開け放つなど、他の社員から見通せるようにします。事業所外ではホテルのロビーなど衆人環視の場所が適当です。   - 【暴力団の考え】
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                        事務所に連れ込んだら、こっちの勝ちや。
 よそもんの目がないからな。
 
- (2)複数で対応
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                相手より多い人数で対応するあらかじめ役割を分担しておきます。 
 【応対担当(主に応対します)】【記録担当(応対状況を記録します)】【連絡担当(110番等内外部との連絡をとります)】交渉は短時間で打ち切るようにしましょう。 
 【長くなれば、相手のペースに引き込まれる。】【予め相手に応対時間を伝えておき、手短(長くても30分以内)に打ち切る】  - 【暴力団の考え】
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                        ようけ出てきよった。
 この会社は、担当者任せとちゃうな。
 
- (3)応対担当者での対応
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                いきなりトップとの応対は避けるトップ等の決裁権者が応対しない。いきなり決定権を持つものが応対すると即答を迫られます。要求内容を社内でよく検討し、警察や暴追センターなどへ相談をした上、余裕を持って判断しましょう。 湯茶の接待はしない。居座りを容認することになり、暴力や要求の小道具となるおそれがあります。   - 【暴力団の考え】
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                        冷静に考えられたら困るんや。
 その場で要求をのませるのがわしらの手や。
 湯茶が出たので、居座りできるがな。
 
- (4)相手の確認
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                相手がどこの誰かを確認する法的手続等求めるため、重要です。 
 通常の応対同様【名刺の提示を要求する・面会人簿冊に記入させる・質問して聞き取る】等の方法により、相手の住所、氏名、団体名、電話番号等を確認してください。代理人と称した場合、必ず委任状を確認すること。  - 【暴力団の考え】
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                        おれの名前、警察に言われるとやばい。
 名前も聞きよらん、だいぶびびっとるな。
 あと一押しや。
 
- (5)用件の確認
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                用件、要求内容をはっきり確認する暴力団員は、あからさまに金品を要求せず、「誠意を示せ」などと迫ります。応対者が勝手に「誠意」とは「お金」だと判断して、金銭による解決を投げかけてはいけません。要求の内容とその根拠を相手の口からはっきり言わせましょう。   - 【暴力団の考え】
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                        誠意いうたら金のことや、わかるやろ。
 金出せいうたらパクられるがな。
 
- (6)応対状況の記録
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                必ずメモなどの記録をとる応対状況をはじめ、街宣活動を含め、その内容を記録しましょう。記録の方法は、ビデオや録音が効果的ですが、メモや報告書でも、後日重要な証拠になります。   - 【暴力団の考え】
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                        録音しとったら、うかつなこといえん。
 カマシいれたら、サツにパクられる。
 
- (7)不必要な書類は作成しない
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                詫び状や念書等は絶対に作成しない作成した書面には法的効力が生じます。一筆書けば許してやるなどと言われ、詫び状等を作成すると、その場はしのげるかも知れませんが、それを盾に要求をエスカレートさせてきます。   - 【暴力団の考え】
- 詫び状を書かせたらこっちの勝ちや。
 
- (8)解決を急がない
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                即答や約束は避ける早く解決したい一心で、一旦要求をのめば更に要求を重ねてきます。【指摘されるような事実があるのか・要求が適法、妥当なものか・実害はどの程度なのか】など、余裕を持って判断することとし、即答はできるだけ避けてください。   - 【暴力団の考え】
- 長引いたら、誰かに相談しよるし、
 警察がでてきよったら面倒や。
 
- (9)警察・暴追センターとの連携
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                早めに相談する暴力団への対応要領については、警察や暴追センターから、適切なアドバイスを受けることができます。できるだけ早い時期に相談することが肝心です。   - 【暴力団の考え】
- 厄介な暴追センターができて、
 わしら極道商売あがったりや。
 
- (10)法的手段で対抗する
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                毅然とした態度で要求を断る不当な要求を受ければ【暴力団対策法を適用する(中止命令)・刑事事件として告訴する・民事訴訟を提起する(仮処分等)】など、法的手段をとることを念頭におき、毅然とした態度で対応してください。   - 【暴力団の考え】
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                        警察や弁護士は、一番苦手や。
 この会社には、うかつなことでけへん。
 
